ダイハツ アトレー 画像出典:https://www.daihatsu.co.jp
一部のドライブ好きや旅好きの方のなかで、少しずつ人気が高まっている軽自動車の車中泊。
維持費の少ない軽自動車で移動し、目的地の近くで就寝することで、思いついたら週末に宿も取らずに出発し、観光を楽しむことができ、自由度の高い車旅行を満喫できます。
このページを訪れているあなたも、そんな軽自動車の車中泊旅行に興味があるのではないでしょうか?
今回はこれから車中泊用に軽自動車を購入したい方に向けて、用途別の車種選びのコツを紹介していきます。
軽自動車での車中泊を取り巻く環境の変化
最近の軽自動車はハスラーやワゴンRのような「ハイトワゴン」や「SUV」でも、シートアレンジによるフルフラット化が可能になっており、少し工夫することで、大人の男性でも車内で足を伸ばして寝ることができるようになってきました。
ハスラーなどでも車中泊向けの純正オプションも販売されており、少し話題になりました。
しかし、あくまで足を伸ばせるだけでは、自宅の布団やベッドで寝るときのように快適という訳ではないのです。
資金が潤沢でセカンドカーとしてなら軽キャンパー
画像出典:バンショップミカミ テントむし
軽自動車の車中泊を考えた際、最も快適に就寝することができ、休憩時間も車内で有意義に過ごすことができるのが軽キャンパー(キャンピングカー)です。
「資金が潤沢」といってもベースは軽自動車ですので、心配するほど高価ではありませんので安心してください。1.5Lから2Lクラスのコンパクトカーやミニバンを購入する程度の価格で十分に購入することできます。
また、維持費は商用車ベースなので、税金もタイヤ代も格安です。
キャンピングカーの例にもれず冷蔵庫や電子レンジ、衛星アンテナやテレビ、ギャレー(シンク)、ソーラ充電システム、FFヒーターなどオプションにこだってしまうと、すぐに300万円オーバーになりますが、まずは快適な寝床の確保に効率的な収納などを考えた場合、非常にメリットの多い選択となります。
軽キャンパー(キャンピングカー)のメリット
車内で止まることを前提に設計・改造されているため、非常に快適に就寝することができます。キャンピングカーですから、車内にはベッドスペースだけでなく、照明器具やテーブル、収納も備わっており、オプションでサブバッテリーシステムやFFヒーター、換気扇などの装備も容易です。
それにより、宿泊場所を決めたら車内で寝てしまうだけではなく、就寝前にTVを視聴したり、旅先で撮影した写真をテーブルに設置したノートPCで整理するなど、狭いながらも小さなワンルームのようにくつろぐ余裕をもつことができます。
キャブコンやトラキャンでは本来の車の天井よりも高さのあるシェルを装備しているため、天井も高く、圧迫感が少ないところも大きなメリットといえるでしょう。
良い意味で目立つためか、キャンプ場や道の駅で休んでいると声をかけられることも多いです。同じ趣味の仲間を探すことも容易で、軽自動車で車中泊旅行やキャンプを趣味として楽しむなら、最高の選択になるでしょう。
画像出典:バンショップミカミ テントむし
軽キャンパー(キャンピングカー)のデメリット
画像出典:軽キャブコン ちょいCan
やはり軽キャンパーのデメリットは軽自動車にしては初期投資がどうしても高価になってしまうこと。
また、目立つこともあって、日常の足として使用する場合、知人や友人によく見つけられてしまうことも多いです。
また、車中泊をよく思っていないパーキングや道の駅では、仮眠などでも目をつけられやすいなどのデメリットがあります。
1BOX(セミキャブ)タイプの軽バンをベースに作られた軽キャンピングカーであれば、一見すると普通の軽バンや軽ワゴンなので、日常生活の中でも比較的使いやすくなっていますが、スペースは軽ワンボックスと同等のため、少し狭く感じるかもしれません。
普段使いが中心なら軽トールワゴン・SUVなどでシートアレンジ
スズキ ハスラー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
通常は通勤や買い物など、普通の軽自動車として使用。数ヶ月に1回程度は遠出して車内で足を伸ばして休みたい。
たまにしか車中泊はしないけど、できれば足を伸ばして就寝したい。
車中泊はするけど車に乗るのはあなた1人。またはできるだけ車に手を加えたくない。
そんな方には最近の軽自動車の中から、シートアレンジでフルフラット化が可能なモデルを選びましょう。
現在の軽自動車の中では一番売れ筋のジャンルですので、多くの車で応用することができます。
シートアレンジが可能であれば、ベーシックなスズキのトールワゴン「ワゴンR」やワゴンRをベースに作られているSUV「ハスラー」。同様のシートアレンジが可能な新型ジムニーなどはもちろん。
スーパーハイトワゴンとなるダイハツ「ウェイク」、スズキ「スペーシア」などもやや天井に余裕があり、圧迫感も少なくなります。
ジムニーのシートアレンジ 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
ジムニーでも新型なら上記の写真のアレンジで、足を伸ばして就寝できます。
トールワゴンなどでシートアレンジするメリット
車体に手を加えることなく、日常的には普通の軽自動車として使用し、必要なときのみ就寝スペースを作ることができること。
何より車体の費用を抑えつつ、燃費も非常に優れており、手頃な価格で車中泊を楽しむことができます。
トールワゴンなどでシートアレンジするデメリット
フルフラットとはいっても、シートの凹凸があるため少し寝付きにくいことがあったり、眠りが浅くなったりすることが考えられます。
しかし、一工夫してクッションやマットを敷き凹凸を埋めることで凹凸を解消し、快適な仮眠を行うことができます。
ただし、前席の運転席部分から荷台までを全てフラットにすることで、やっと足を伸ばして眠ることができるスペースが確保できる程度のため、2名乗車での車中泊の際には荷物を置いておく場所の確保が難しい部分があり、ルーフボックスの増設や荷台に棚を設けるなど、多少は工夫は必要です。
また、運転席をフラット化してしまった場合、トラブルや緊急時にすぐに車を発進させることができないため、融通がきかないという部分が欠点といえるでしょう。
この点においては1名のみでの車中泊であれば、左側のみをフラット化し、運転席は残しておくことでカバーできますが、やはり窮屈感は否めません。
車中泊を考えた際の軽ワゴン、SUVタイプで車種選びのポイント
ダイハツ キャスト アクティバ 画像出典:https://www.daihatsu.co.jp
フルフラットモードといってもダイハツ「キャスト」や「ムーブ」など、写真のような大きなソファー形状のロングソファーモードしかできない車種については車中泊は辛いものがあります。
小柄な女性や子どもであれば何とかなるかもしれませんが、170cm以上の成人男性の場合、首のあたりで後部座席のシートバックの位置になるため、足を折り曲げて首の位置を調整する必要があります。
また、シートの凹凸が多いため通常のキャンプ用マット程度ではシートの凹凸が気になって熟睡は難しく、極厚のマットかエアタイプのマットを使用しない限り、仮眠程度が限度になってしまうと考えられます。
筆者自身もダイハツ「テリオスキッド」で、北海道を数週間にわたって車中泊で旅行を行なったことがあるのですが、このアレンジでは快適に眠ることができず、最終的にはテント泊か助手席側のシートバックを取り外し、外付けのルーフボックスに格納して就寝していました。
スズキ ハスラー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
対するダイハツ「キャスト」のライバル、スズキ「ハスラー」やトールワゴン系の「ワゴンR」などはキャストと同様のソファーモードのほかに、写真のような助手席とリヤシートの背もたれを倒すことが可能で、荷室までほぼ完全なフラット形状に設定することが可能です。
メーカーでは写真のように長い荷物も収納できると歌っていますが、当然マットを敷くとベッドスペースとしても使用することができ、こちらのアレンジが使える車種では170cm以上の身長の方でも足を伸ばして眠ることが可能です。
ダイハツ車であれば、スーパーハイトワゴン系の「ウェイク」や「タント」であれば同様のアレンジが可能です。ただし、タントはスズキの車種に比べて助手席部が高くなっているため、多少工夫が必要になります。
車内のマットは「車中泊専門店オンリースタイル」のような厚手のマットを利用すると良いでしょう。
価格も24,800円(税別)からで純正オプションよりも安く購入できます。
さらに快適な車中泊を考えるならハイルーフのセミキャブオーバー
セミキャブオーバータイプの軽自動車。いわゆる軽バンといわれるジャンルやそれをベースに作られているワゴンタイプの車種であれば、少し工夫することでキャブコンタイプの軽キャンパーに匹敵する就寝スペースを確保することが可能です。
具体的にはスズキ「エブリイワゴン」やダイハツ「アトレー」、ホンダ「バモス」などです。OEM車両としてはエブリイがマツダ「スクラム」、三菱「ミニキャブ」、日産「クリッパー」。ダイハツ「アトレー」はスバル「ディアスワゴン」としても販売されています。
特にハイルーフタイプとなると、上部のスペースに余裕があるため圧迫感が少なく、オプションのラックなどを使うことで、軽量のものであれば後方の頭上にまとめて収納できる点が、軽キャンパーを除いた他の車種では真似のできない部分です。
セミキャブタイプのメリット
エブリイワゴン シートアレンジ 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
軽自動車セミキャブタイプのメリットは何と言っても、運転席と助手席を格納することなく、約畳1畳分に匹敵するサイズのスペースを後方に常時展開できることです。
また、ちょっとした工夫をすることで、カプセルホテルのような快適な就寝スペースと荷室を両立することも可能です。
あなた1人だけでの車中泊旅行であれば、助手席にカメラやバッグ(リュック)などの持ち歩く荷物を置き、助手席の後方にベッドスペースを常設。運転席後ろにゴルフバッグや着替え、スキー・スノーボードなどのギアを全て積んだ状態で、快適に旅ができます。
何より嬉しいのは、就寝時に毎回シートアレンジを行ないベッドメイクを行う必要がないため、好きなところまで走ってすぐに就寝できるため、軽自動車での車中泊におけるストレスが非常に少ないところです。
セミキャブタイプのデメリット
エブリイ 荷室長 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
セミキャブタイプのデメリットは広大なスペースと引き換えに車重が重くなり、スペースの都合もあってハイブリッドシステムも搭載もしないため、燃費が悪くなることです。
昨今の軽自動車の多くは20km/L程度の燃費は平均的に記録する車種が多いのですが、このタイプのモデルではカタログ燃費でターボが14〜16km/Lであることも珍しくありません。
ただ、NAのエブリイに関しては商用バンで20km/Lと優れた燃費を発揮してます。
一昔前から見ると燃費は向上しているのですが、ガソリン価格の高騰が騒がれている中、ランニングコストを優先すると少し痛い部分かも知れません。
ただ、通勤や買い物にはあまり車を使わず、趣味としての使用が中心であれば、年間の費用は比較的抑えることができるため、後悔することはないといえます。
車中泊を考えた際の軽セミキャブ車種選びのポイント
商用バンがベースとなるセミキャブ系の車種。どれを選んでも快適なベッドスペースを確保することが可能です。
一昔前まではメーカー各社が開発し、ライバルのひしめいていた軽自動車のセミキャブクラスですが、現在では統合されOEM販売が主流となっています。
2018年の夏の時点で実際つダイハツの「アトレー」、そのベースの商用車「ハイゼット」。スズキの「エブリイワゴン」とベースの商用車「エブリイ」の2車種のみが新車購入が可能です。
個人的には助手席のシートバックを前方に折りたたむことが可能なスズキ「エブリイ」が、運転席からベッドスペースとへの移動時など、使い勝手いいように感じました。
それぞれOEMで他のメーカーでも展開しており、エブリイはマツダ「スクラム」、三菱「ミニキャブ」、日産「クリッパー」がメーカーロゴやカラーリングが違うのみで、全く同じ車を購入できます。
ダイハツの「アトレー」「ハイゼット」はスバルの「ディアスワゴン」と「サンバー」が同じ車です。
ちなみに少し前まではホンダの「バモス」とハイルーフの「バモスホビオ」、ベースの「アクティ」も販売されていましたが、2018年5月に生産終了となりました。
後継となる「N-VAN」については、バンと謳われているためキャブタイプと間違えることが多いのですが、スーパーハイトワゴンの「N-BOX」をベースです。
運転席の後ろで確保できる荷室長は1510mmですので、車中泊用と考えた場合には1歩劣ります。
ただ、助手席を収納した場合、完全なフラット面を車体の左半分に作ることができるため、1名での車中泊旅行であれば思ったよりも快適に過ごすことができます。
まとめ
軽自動車でも楽しめる車中泊特集はいかがでしたか、ちなみに筆者はダイハツ「テリオスキッド」、スズキ「エブリイバン(3代目)」、ホンダ「バモス」で車中泊を楽しんできました。
最後に車中泊用に所有していたキャブタイプの「バモス」はコンパネを利用した簡易ベッドなどを自作して設置したこともあり、快適な車中泊を行うことができ、満足できる1台でした。
すでにバモスは2018年5月に生産終了となり新車では手に入りませんし、燃費も現行車種に比べて悪い傾向がありますが、セカンドカー用途で中古車をお探しの場合は、なかなか良い選択だと思います。
あなたも自身のスタイルに合わせた車種をチョイスすることで、キャンプや釣り、登山など、よりアクティブなカーライフを満喫できることでしょう。
新車購入の際には各社で見積もりを取り、OEM車同士で競い合わせると良い結果が得られるはずです。
あとは少しでも損をしないように、現在の愛車の査定を少しでも高くできるよう工夫して、お得に愛車を手に入れましょう。
それでは、あなたが最高の愛車と出会えることを願っています。