オフロード風ルックのSUVではなく、オフロード性能を持った本物のSUV車を探しているあなた。
2018年7月5日にフルモデルチェンジして登場した、新型ジムニーはいかがですか?
新型ジムニーは、よりタフさに磨きをかけ、無駄を削ぎ落として質実剛健に仕上がった本物のオフロードマシンです。
ルックスは初代や2代目のジムニーの意匠をブラッシュアップさせたものですが、かっこよさの中でも最近のスズキらしい可愛さもあるデザインです。
偶然にもベンツのGクラスと雰囲気にも似ていたことから、一部ではミニGクラスとも呼ばれ、デザイン・性能ともに大人気となっています。
2018年9月現在ではすでにバックオーダーを抱えており、人気カラーでは1年待ちとなるほど盛況です。
あなたも軽自動車ながら、本物を所有する満足感と週末のアドベンチャーを楽しめるジムニーを手元に置いてみませんか?
今回はそんな大人気「軽オフロード4WD」ジムニーをクローズアップしてみたいと思います。
ジムニーってどんな車
昭和42年(1967年)のこと、かつてマツダ、ダイハツと並ぶオート三輪メーカーだったホープ自動車(現・ホープ)が大手自動車メーカーとの戦いに破れた時代。
ホープ自動車の軽四輪駆動車「ホープスター・ON型4WD」の製造権を、当時はまだスズキ東京の社長だった現在のスズキ会長こと鈴木修氏が、社内の反対を押し切り買い取ったことからはじまります。
車内では「社長の道楽」「売れるわけがない」と散々言われたようですが、この「ホープスター・ON型4WD」がジムニーのご先祖さまとなっています。
「ホープスター・ON型4WD」は組み立てのほとんどが手作りで、そのまま量産できるものではなかったようで、あくまでプロトタイプとしての存在という形です。
スズキは「ON型4WD」の優れた機能は生かしながらも、自社での生産向けに大きく変更を加え、その機能を生かしながらも軽トラック「キャリイ」などのエンジンとミッションなどを流用。
軽自動車の枠内に抑えて発売されたのが、初代ジムニーです。
現在のジムニー と違い「乗用車枠」ではなく、軽トラックや軽バンと同じ「軽商用車(軽貨物)」での登録で、販売価格・税金面で維持費軽減なども期待できる実用4WDとして商品化され、大成功しました。
「ジムニー (Jimny)」の名前の由来は、ジープ(Jeep)型のミニという意味を込め、「Jeep」と「Mini」「Tiny」をかけあわせ命名された造語で、覚えやすさなどから作ったものとのことです。
軽自動車規格よりもひとまわり大きな1000cc〜1500cc枠となる「シエラ」は「SIERRA」という山脈を意味する言葉から来ています。
登山家の方が山登りやキャンプで使っている、金属のカップも「シエラカップ」と呼ばれていますが、それと同じ意味ですね。
海外でも194の国と地域で販売されており、名称はジムニーのほか、時期や地域によって名称が多くあり、「ブルート」「サムライ」「シエラ」「カタナ」などの名称で呼ばれています。
また、3代目ジムニーはマツダにOEM提供されて1998年から2014年まで販売されていたこともあり、「AZ-オフロード」の名称で呼ばれることもあります。
ちなみにジムニーの愛好家は、日本のみならず全世界に広く存在していて、車好きの一部では「ジムニスト」と呼ばれています。
現在でも、国内では釣りや林道走破、登山の足としてのレジャー用途だけでなく、林業や山間の送電線の点検作業車として、積雪地域の配達業務用として。
海外では農園や牧場の移動用として愛されています。
また、競技用としてもその走破性と維持・カスタマイズ・修繕費の手軽さから、クロスカントリー競技。例えばトライアル・ヒルクライム・ダートトライアルなどのオフロード競技用としても愛用されています。
スズキ 歴代ジムニー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
細かくモデルチェンジされているようにみえますが、なんとフルモデルチェンジは今回を含めて3度のみとなっています。
2代目ジムニーは当時の子供達に大人気だった変身ヒーロー、「宇宙刑事ギャバン」の変身前の愛車としても使用されており、ワイルドで男らしい車というイメージがウリでした。
新型ジムニーのエクステリアは
スズキ 新型ジムニー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
20年前に登場した先代(3代目)ジムニーでは、普通乗用車っぽいデザインに寄せて、丸みを帯びたジムニーのエクステリアデザインですが、今回のフルモデルチェンジで新型ジムニーは原点回帰。
子供の頃に描いた「車らしい車の絵」のようにも見える、シンプルさの中に個性を持った、初代や2代目のようなスクエアデザインとなりました。
エクステリアは全体的に角ばったボディスタイルで、カラーリングによって少しハードにも見えますが、ポップなカラーを選択することで愛嬌のあるカワイイ面も見て取れます。
実際にこの記事を書いているはもカッコイイ硬派な印象をうけましたが、妻や周囲の女性からはカッコイイではなく、「カワイイ」、「オシャレ」という意見が多かったことから、男女問わずに好評なデザインと言っても間違い無いと思います。
また、よく言われるベンツGクラスのミニ版とも取れるデザインは、手頃な価格で購入・維持できるSUVのカスタムカーのベースを求める層にも人気です。
新型ジムニーのインテリアは
スズキ 新型ジムニー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
新型ジムニーのインテリアは他の車種にはない水平基調のデザインが印象的です。
独特のデザインながら、使い勝手も考えられており、ポケット類もしっかり付いています。
実際に私が試乗した際の写真がこちらです。
見苦しい足で申し訳ございません。
センターパネルの中央にエアコンなどの空調スイッチが集中し、その下に左右のパワーウインドースイッチやトラクションコントロール、ヒルディセントコントロールのオンオフスイッチが並んでいます。
左手のパワーウインドースイッチの下には電源のソケットがあり、シフトレバーで隠れていますが、最下部にはスマートフォンが収まる程度のトレイが備え付けられています。
シンプルなシフトレバーからさらに視線を引くと、ジムニー独特の機械式副変速レバーが見えます。
先代のスイッチ式「ドライブアクション4×4」も悪くはなかったのですが、手軽に切換が行える反面、条件によってはうまくシフトできないというオフロードマシンとしての欠点がありました。
これを原点回帰した機械式副変速機で解決し、ヘビーユーザーの期待に応えています。
質感にもこだわっており、メーター周りの装飾パネルも硬派な印象のデザインです。
写真のようにハスラーと並べて比較して見ると、ジムニーの方が少し高さがあり、フロントウインドウも立ち上がっているため、より視界は良好で車体の端を把握しやすく感じます。
スズキ 新型ジムニー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
シートは使いやすいファブリックタイプです。
悪路走行でも疲れにくくなるよう、通常よりも厚物ある豪華なシートクッションを採用しています。
4名乗車時には荷室はほぼなくなりますが、ワゴンRやハスラーなどと同様に自由なシートアレンジが可能となっており、使い勝手は他の軽自動車と遜色ありません。
新型ジムニーの積載性能は
ジムニーの積載性能についても確認してみましょう。
スズキ 新型ジムニー 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/sy
写真のように、荷台面までの高さが多少ありますが、十分な開口部を持っています。
4名乗車時は辛いものがありますが、2名であれば後部座席を格納しフラットなスペースを確保できるため、352Lの荷室スペースが使用可能です。
乗車人数が1名だけであれば、助手席側もフルフラット化することで、長尺ものの積載にも対応できます。
荷室の左後方には電源を確保できるソケットがあり、アウトドアアクティビティでポンプや工具などを使用したりする際などにも活躍します。
手狭ながら車中泊も対応
上記のようなシートアレンジ機能の追加により、ジムニーの快適性はかなり向上しています。
旅好きにとって嬉しいのは「長尺もの積載」のポジションにすることで、足を伸ばしての車中泊が可能になったことです。
流石にワンボックスタイプのような広々としたベッドルームには程遠いものがありますが、身長が170cm前後であれば十分に足を伸ばして就寝することが可能です。
ちなみに車中泊の際のシートアレンジは、写真上のフルフラットではなく、下の長尺もの積載アレンジがオススメです。
フルフラットモードでは後部座席のシートバックがあるため、ソファのように座って休むには適していますが、170cm程度の身長の人間が足を伸ばして横になると、首のあたりでシートバックにあたる体制になり、あまり快適ではありません。
そこで長尺もの積載状態にすることで、車内スペースを最も長く使用することが可能になります。
ただ、車中泊ではシートの隙間や凸凹が気になります。
キャンプや登山になれた方なら、数千円で購入できるキャンプ用のマットを使う方法もあります。
しかし、野外のでの就寝に慣れていないなら、快適に使用できるマットの使用をオススメします。
自宅のベッドと同様にマットが悪いと睡眠の質が下がってしまうので、翌日に眠気が残り旅の質が下がったり、運転中に眠くなったりすることがあります。
できることなら、上記の両方の良いところを集めたインフレータブルタイプのマットで、シートの凸凹を解消できる肉厚タイプを選びましょう。
私のオススメは「車中泊専門店オンリースタイル」のマットです。
価格も24,800円(税別)からで純正オプションよりもかなり安く購入できます。
新型ジムニーの走行性能の乗り心地は
新型ジムニーはラダーフレームの剛性を1.5倍にアップしたことによる恩恵か、新型ジムニーの乗り心地と静粛性は先代に比べて1ランク上のレベルになっています。
実際に試乗して比べて見るとわかりやすいのですが、軽自動車とは思えないしっかりとした乗りこちでありながら、非常に乗りやすくなっています。
ステアリングフィール(ハンドルの応答性)も以前ダイハツのデリオスキッドで感じたような電動パワーステアリングの軽すぎる感じや反応の違和感もなく、素直な反応に好感が持てます。
心配される安価な軽にありがちな、路面の凹凸によるボコボコとした突き上げも特になく、ロードノイズも気になるレベルではありません。
音楽を聴きながらのドライブも先代に比べると、かなり快適に行えるようになっています。
悪路走行や雪道での優位性ついては、こちらの記事でも書いています。
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新型ジムニーの燃費は
新型ジムニーのカタログ燃費は下記のようになっています。
WLTCモード
全グレード 共通
5MT /16.2km/L
4AT/13.2km/L
WLTC-Lモード(市街地モード)
全グレード共通
5MT/14.6km/L
4AT/11.0km/L
WLTC-Mモード(郊外モード)
全グレード共通
5MT/17.5km/L
4AT/13.9km/L
WLTC-Hモード(高速道路モード)
全グレード共通
5MT/16.5km/L
4AT/14.2km/L
旧ジムニー(3代目ジムニーJB23)
5MT/14.8km/L
4AT/13.6km/L
旧モデルの3代目ジムニー(JB23)ではカタログ燃費はJC08モードでしたので、計測方法が異なっているので比較が難しいのですが、5MT(マニュアルミッション)では1.4km/Lだけ若干燃費が向上し、逆にAT(オートマチック)は0.4km/L悪化しています。
では、実燃費ではどうかというと、SNSなどのデータなどを参考に調査してみました。
複数の事例を確認したところ、高速などでは新型のMTが若干優れている傾向が見られるものの、ほぼ先代(JB23)の燃費と差がないという意見が多いようです。
確かに最近の軽自動車から考えると燃費は悪いといえますが、先代からの剛性・機能などの向上で重量アップなどもあるため、全モデルの燃費のままで各種性能がアップしたことはジムニーのキャラクターからすれば問題ないと言えるでしょう。
新型ジムニーのカスタマイズ
まだ発売されたばかりの新型ジムニーですが、人気のエクステリアデザインなどから、先代以上にカスタムカーベースとしての可能性を秘めています。
それではすでに発表されている、新型ジムニーのカスタムをほんの少し紹介しましょう。
Liberty Walk「lb★nation SUZUKI G mini」 画像出典:http://libertywalk.co.jp/
まずはカスタムカーショップとして、世界的な知名度を持つ愛知県尾張旭市の「Liberty Walk(リバティウォーク)」さんが発表した「lb★nation SUZUKI G mini」です。
ジムニーをベースにオーバーフェンダーなどのパーツ装着により、メルセデス・ベンツ「Gクラス」風に変身させるFRPのカスタムボディキットになっています。
8月にInstagramで発表され、現在はLiberty Walk(リバティウォーク)さんの公式サイトでも見ることができます。
DAMD「JIMNY “little D.”(写真上)」「JIMNY “little G.”(写真下)」
画像出典:https://www.damd.co.jp/
こちらはマツダなどでショップオプションとして、エアロやアクセサリーの供給も行なっている「DAMD」さんのボディキット「JIMNY “little D.”」です。
こちらもベンツ「Gクラス」や往年の名車っぽいボディキット。
DAMDさんの公式サイトを拝見したところ、発売は2019年の予定となっています。
専用ページからメールアドレスの登録で最新情報を受け取れるようになっていますので、興味のある方は登録して見るのも良いでしょう。
この他にも新型ジムニーの登場とほぼ同時にカスタマイズされたコンプリート車を発表したのは、岩手県盛岡市の株式会社エヌズ・ステージさん。その名もエヌズリミテッド・フィッシングマスター。
同社とフィッシングツールブランドのソウルズとのコラボで登場したフルコンプリートカスタムです。
先代までのジムニーでも見られた「リフトアップ」という、車高アップによる走行性能の向上が中心のカスタムで、主に釣り人向けにロッドホルダーなども装備されています。
また、兵庫県三木市の三木スズキさんも、リフトアップして走破性をアップさせたカスタマイズジムニーを制作中のようです。
今後はジムニーのプロショップとして有名な神奈川県のアピオさんの動きにも注目しておきたいところです。
カスタムを考えている方は、こういった最新のカスタム情報も要チェックしておきたいですね。
実際のオーナーが行っているカスタム情報は車専用SNSの「CARTUNE(カーチューン)」や「みんカラ」をチェックするのがオススメです。
145.8万円から新型ジムニーの価格は高い?
新型ジムニー価格は、もっとも下のグレードのMTで「145.8万円から」という設定です。
ATではもう少し高くなり、155.2万円です。
一見すると他の軽自動車と価格を比べてしまい、少し高価かなと感じるかもしれません。
しかし、ジムニーはグレードに関係なく、全グレードでターボエンジンとパートタイム4WD、本格的なオフロード走行を可能とする副変速機、悪路で威力を発揮するブレーキLSDトラクションコントロールなどが標準装備となっています。
人気のホンダN-BOXがエントリグレードで、4WDターボにした場合は151.6万円。
ダイハツの軽SUV、キャストアクティバもターボ4WDでは165.7万円です。
軽自動車では4WDやターボエンジンの設定が上級グレードの付加価値のための装備ということが多く、SUVルックでさえあれば、2WDのノンターボでも十分という方にとっては、ジムニーの価格は高く感じてしまうかもしれません。
しかし、逆に4WDとターボエンジンが必須という方にとっては、どのグレードでも走行性能が変化することのないジムニーはむしろお買い得ともいえる価格と言えます。
新型ジムニーの価格をあなたは高いと思いますか?
■新型ジムニーのメーカー希望小売価格
XC 5MT:¥1,744,200(税込)/AT:¥1,841,400(税込)
XL 5MT:¥1,582,200(税込)/AT:¥1,679,400(税込)
XG 5MT:¥1,458,000(税込)/AT:¥1,555,200(税込)
新型ジムニー(JB64型)のスペック
ジムニー(JB64)
ボディサイズ(全長×全幅×全高)
3,395mm×1,475mm×1,725mm
最大乗車定員:4名
エンジン:R06A型
総排気量: 0.658L
駆動方式:パートタイム4WD
最小回転半径:4.8m
最高出力:47kW(64ps)/6,000回転
最大トルク:96Nm /9.8kg.m/3,500回転
燃料タンク容量:40L
トランスミッション:5MT/4AT(パートタイム4WD)
車両重量 :
5MT 1,030kg
4AT / 1,040kg
まとめ
いかがでしたか?
新型ジムニーは先代のジムニーからのフルモデルチェンジにより、デザイン・快適性ともに格段の進化を遂げています。
車体価格はやや割高ですが、モデルスパンも非常に長く、リセールバリューも非常に高いことから、安心して購入できる軽SUVであることに違いありません。
優れた性能と独自性をもち、軽自動車でありながら「本物のオフロードマシンを所有する」という所有感も得ることができます。
ノーマルで長く乗り続けるもよし、ドレスアップやアウトドア用途に向けてカスタマイズを考えて場合にも、その人気と専門店の多さから迷うことこそあっても、パーツのなさで困ることはありません。
安く維持できることから、ほんの少し家計に余裕があれば週末用のセカンドカーとしても所有することも可能です。
日常の足として、趣味の相棒として、新型ジムニーをあなたの側において見ませんか?
現在、パジェロミニのようなライバルが不在で、非常に人気も高いためディーラーでの値引きは厳しいものがありますが、現在の愛車を少しでも高く売却できるよう工夫したり、余計な経費を削減するなどすれば、お得に乗り換えを行うことも可能です。
それでは、あなたが最高の愛車と出会えることを祈っています。