奥様の買い物や子供たちの送迎の用途で、スライドドアの車を考えているあなた。
タントやスペーシアなどの軽自動車では安全性が不安。
でも、すでに自分の車もあるし維持費や駐車スペースを考えると、大きなミニバンは難しいと考えている方も多いのではないでしょうか?
すでにご自身の通勤や家族での長距離ドライブ用として、普通のセダンやミニバンを所有しているなら、軽自動車より余裕があって税金やメンテナンスなどの維持費もリーズナブルなトヨタのプチバンの「ルーミー」、「タンク」はいかがでしょうか?
今回は2016年11月9日にトヨタから発表された、トヨタ・「ルーミー」と「タンク」についてピックアップしてみたいと思います。
トヨタ ルーミー 画像出典:http://toyota.jp
プチバン、ルーミー・タンクってどんな車?
プチバンとはミニバンより小さなサイズで、スライドドアを採用した5人乗りコンパクトカーの通称です。
軽自動車で乗車スペースを広く設計されたトールワゴン、タントやスペーシアを一回り大きくしたコンパクトカーと考えていただくと良いでしょう。
プチバンの先駆けとなったのはスズキの「ワゴンR+」がフルモデルチェンジでスライドドアを採用した「ソリオ」と、OEMとして三菱から販売された「デリカD:2」になります。
スズキ ソリオ 画像出典:http://www.suzuki.co.jp/car/
2010年12月24日のソリオ発売からしばらくの間、「スライドドア採用のコンパクトトールワゴン」はスズキの独壇場になっていました。
しかし、ある程度の市場ニーズが確保されていることを認識したトヨタが、これを見過ごすはずはありません。
すでにトヨタのコンパクトサイズのミニバンとしては、5ナンバーのBセグメント範囲でギリギリに抑えている7人乗りミニバンで1500ccの「シエンタ」。1300cc〜1500ccの5人乗り「ポルテ」・「スペイド」がありますが、こちらはスズキの「ソリオ」よりも一回り大きなスタイルでした。
そこで今回はソリオのユーザー層に当たる1000cc〜1300ccコンンパクトクラスのシェアを奪うため、コンパクトミニバンの下のクラスとして、パッソのプラットフォームでダイハツに開発させた1000cc(1000ccターボもあり)5人乗りハイトワゴンの「トール」。
これをトヨタがOEM販売するのが、「ルーミー」、「タンク」となります。
両車ともに広々とした室内の空間を表現する「リビング」と、走りの良さを表現する「ドライビング」を掛け合わせた「1LD-CAR(ワン・エル・ディー・カー)」がコンセプトです。
個人的に走りの良さについては少し微妙と感じますが、室内空間については使い勝手もよく、優れたパッケージに仕上がっています。
既存のトヨタユーザー層としては、すでに販売を終了したトヨタのコンパクトカーのトールワゴン、bBやラクティスなどの後継モデルとしても販売されます。
ちなみに「ルーミー」、「タンク」は「bB」や「ラクティス(さらに前はファンカーゴ)」とサイズ的には同じクラスですが、スライドドアを採用しているところと、エンジンのサイズが1000ccのみとなるのが大きな違いです。
なお、ダイハツ「トール」のOEM提供はトヨタの「ルーミー」・「タンク」だけでなく、スバルにも「ジャスティ」という名称で提供されています。
ルーミー・タンクのエクステリアは? ジャスティ・トールの違いって?
ルーミーとタンクはフロント部分グリルとバンパー周りの形状、リアのブレーキランプ周りのカラーでエクステリアに違いを出しているのですが、その他はインテリアも含めて同じ車です。
先発のミニバン、ノアとヴォクシーの違いのようなものですね。
OEMのスバル「ジャスティ」、ダイハツ「トール」も違いは会社ロゴ程度の差になります。
なお、「ルーミー」と「タンク」は同じトヨタ車でも販売チャンネルが異なりますので、好みに応じて購入出来るディーラーが異なっています。
それでは「ルーミー」と「タンク」の違いを、兄弟車でもあるスバル「ジャスティ」、ダイハツ「トール」も含めて確認していきましょう。
フロント(前面)のエクステリア
トヨタ ルーミーカスタム 画像出典:http://toyota.jp
まずはルーミーのフロントのデザインです。
スバル「ジャスティ」も同じデザインを採用してます。
大きなグリルが特徴で、高級ミニバンのアルファードのミニマム版のような雰囲気です。
軽自動車で言うとタントカスタムに近いデザインでしょうか?
ただし、グリルがメッキ仕様なのは上級グレードのカスタムG-T、カスタムG“S”、カスタムGなどの「カスタム」シリーズとなっています。
ちなみにこちらが通常グリルの「X」「G」グレードです。
こちらは少し商業バンのようにも見えてしまいます。
ルーミーのデザインコンセプトは「品格と艶やかさ」ということですので、ラグジュアリーな雰囲気を楽しみたいなら、メッキグリルのグレードを選びたいですね。
トヨタ タンクカスタム 画像出典:http://toyota.jp
そしてこちらがタンクのフロントのデザインです。
ダイハツ「トール」が同じデザインを採用しています。
タンクのデザインは「ダイナミックさとアグレッシブさ」を表現しているとのことです。
ラグジュアリーな雰囲気のルーミーと違い、こちらはヴォクシーやシエンタのようなスタイリッシュな雰囲気ですね。
写真は上記のルーミーと同じグレード「カスタム」のものです。
タンクも下位の「X」「G」グレードで、グリル周りとフロントガーニッシュ(ヘッドライトの間のロゴ部分)の形状が違います。
ただ、タンクのカスタムはルーミーのように大きな印象差はないように感じます。
サイド(側面)とリア(背面)のエクステリア
まずはルーミーのサイドデザインです。
こちらが、タンクのサイドデザインです。
側面に関してはフロントと違って大きな差はありません。
フロントバンパーのエアロ形状やフォグランプの意匠から、サイドにつながる部分のラインの好みで選ぶと良いでしょう。
次にリアのデザインを見てみましょう。
まずはルーミーのリア部分です。
続いてタンクのリアデザインです。
基本的に形状は同じものなのですが、タンクはリアのライトがクリアレンズを採用しています。
ルーミーとタンクは実際に乗ってしまえば、使い勝手もデザインも価格も全て同じですが、エクステリアの雰囲気が異なっているので、どちらを選ぶかでオーナーのセンスが現れますね。
私の個人的にはスタイリッシュなタンクが好みです。
なお、OEM提供である兄弟車のダイハツ「トール」は、トヨタロゴや車名デカールを除いて「タンク」と同じデザイン。
スバル「ジャスティ」は「ルーミー」と同じデザインで販売してます。
ルーミー・タンクの内装(インテリア)
普通車最小の1L(1000cc)クラスながら十分な質感のインテリア
トヨタ ルーミー(インテリア) 画像出典:http://toyota.jp
インテリアはルーミー・タンクともに共通でのデザインを採用しています。
質感はリーズナブルなコンパクトカーとしてはまずまずの印象。
上にはデミオ(DJ)になどがあるので上質とまではいきませんが、悪くはないと思います。
トヨタ パッソ(インテリア) 画像出典:http://toyota.jp
ベースのパッソと比較してみると、ステアリングは同じものを採用しているのがわかります。
質感自体が大幅に向上したわけではないのですが、センターパネル周りが一体化したデザインとモニタなどが増えて豪華になっているため、実際に試乗した時の印象は変わっています。
ダッシュボードにマルチファンクションモニタが採用されていたり、ナビなどを格納するオーディオパネルもスマートになっています。
シートはウォークスルーが可能で、税金の安い1000ccクラスでありながら、スライドドア 、ワンタッチオープン・イージークローザー・挟み込み防止機能付など、ミニバン的な機能は十分です。
後部座席もスライドが可能ですので、大人が4名乗車する際にも後席の足元スペースを広めに設けることができ、トランクスペースが少なくなるものの、不快な印象はありません。
グレードによっては写真のように、一部の差し色を変更することもできます。
ベースのプラットフォームがパッソと言っても、実際のサイズはパッソと違い4名乗車した状態でも荷台の収納スペースも十分に確保することができます。
動力性能に余裕のあるターボ仕様もあることから、1000ccクラスで自動車税を抑えながらも家族で使える十分なユーティリティを確保したいユーザーにもオススメです。
ロードバイクも積める積載性・車中泊もOKなシートアレンジ
シートアレンジについてはトヨタの公式チャンネル動画が分かりやすくなっています。
家族で使用するプチバン(ミニバン)として、コンパクトカーの安全性と快適性を確保しながら、タントなど軽トールワゴンと同等の居住スペースを確保しています。
70度までリクライニングさせることが可能なリアシートを利用して、車中泊時にも便利なスペースを確保できます。
リアゲートの開口部も広く、荷物の出し入れにも便利ですね。
後部座席を収納すると大きな積載スペースを確保できることから、
家族での使用以外にも夫婦やカップルで、ロードバイクやMTBを積んで出かけたりするのも楽しそうです。
カタログの写真でもありますが、26インチのクロスバイクを2台積載できる仕様になっているようです。
モデリスタからルーミー/タンク用 サイクルホルダーのオプションも販売されています。
動画を見ているとクイックの部分に「MINOURA(ミノウラ)」の文字が見えていますので、ロードバイクやクロスバイク乗りの方であれば馴染みのある「ミノウラ」さんの「MINOURA(ミノウラ) バーゴ VERGO」と同じものだと思います。
動画では助手席を前にスライドして1台と紹介されていますが、おそらくフレームのサイズによっては2台積載も十分可能でしょう。
気になる方は店頭にロードバイクを持ち込み、積載が可能か実験させてもらうことをオススメします。
また、後輪を外してミノウラから発売されているリアエンドサポートを使用すれば、大きなフレームサイズであっても問題なく2台の積載が可能です。
車中泊や仮眠の際には、すべてのシートを倒してフラットモードにすることができます。
フラットモードにした場合、2名までならリクライニングさせたソファのように足を伸ばして休むことができます。
ただし、1BOXタイプの車やホンダのミニバンのような完全なフラットにはならないため、各シート間に凹凸があり熟睡するのは難しいかもしれません。
本格的な車中泊を考えている方は、凹凸を解消できる市販の車中泊用のマットを使用したり、コンパネなどで簡易ベッドを組むなど、ひと手間加える方が広い車内をさらに快適な空間として活用することができます。
また、車中泊をすることが前提でこのクラスの車を探しているなら、ライバルのソリオもフラットなシートアレンジが可能ですので、比較検討してみると良いでしょう。
ちなみ車中泊におすすめのマットは「車中泊専門店オンリースタイル」のマットです。
キャンプ用のインフレーターマットと同じ、ウレタンと空気を併用する仕組みのマットですが、コンパクトで軽量が主体のアウトドア用と違い、ウレタンフォームが厚手になっていて、シートの隙間やサイドサポートの凸凹を吸収しつつ、適度な硬さがあるので、翌朝の疲労感が少ないのがポイントです。
標準サイズ198cm×66cm(車の片側くらい)とワイドサイズ198cm×100cm(約両面)があります。
初めは安いものをと考える方も多いですが、マットや寝袋のクオリティは睡眠の質にも影響するので、ここでケチると車中泊旅行そのものが苦痛になってしまうこともあります。
寝具については初めから良いものを選んだほうが、最終的にはお得といえます。
ルーミー・タンクのスペックは?(排気量・燃費など)
ルーミー・タンクのライバルとなる、スズキのソリオとスペックを比較してみましょう。
ルーミー/タンク | ソリオ | ||
1000cc直3・NA | 1000cc直3ターボ | 1200cc直4マイルドHV | |
全長 | 3700~3725 | 3710 | |
全幅 | 1670 | 1625 | |
全高 | 1735 | 1745 | |
ホイールベース | 2490 | 2480 | |
最小回転半径(m) | 4.6~4.7 | 4.8 | |
室内長 | 2180 | 2515 | |
室内幅 | 1480 | 1420 | |
室内高 | 1355 | 1360 | |
荷室長(5名乗車時) | 500~740 | 410~575 | |
荷室幅 | 1300 | 1305 | |
車両重量(kg) | 1070 | 1080 | 950 |
最高出力(ps) | 69ps | 98ps | 91ps |
最大トルク(kg-m) | 9.4 | 14.3 | 12.0 |
燃料タンク容量(L) | 36 | 32 | |
JC08モード燃費(km/L) | 24.6 | 21.8 | 27.8※1(24.8※2) |
車両価格 | 1,463,400円〜 | 1,803,600円〜 | 1,695,600円〜 (1,454,760円〜※2) |
※1 ソリオは上位に32km/Lのフルハイブリッド仕様も発売されています。
※2はマイルドハイブリッドなし1200ccガソリンエンジンモデル
燃費や走りの面では総合的にスズキ「ソリオ」の強さが見られますが、税金などの維持費などの面では1000ccのルーミー・タンクが勝っています。
ライバルのソリオは一番下のハイブリッドなしの1200ccグレードでも排気量に余裕があり、4気筒で回転がスムーズなため静粛性にも優れており、リーズナブルで良い車です。
デザインやトヨタブランドにこだわりがなければ、ルーミー・タンクだけではなく、スズキ「ソリオ」も試乗してみてから選ぶことをお勧めします。
ルーミー・タンクの実燃費は
ルーミー・タンクの燃費は通常モデルがJC08モードで24.6km/L、ターボモデルで21.8km/Lです。
実燃費は通常モデルで15km/L、ターボモデルで13km/Lが目安となるようです。
ルーミー・タンクの安全装備
ルーミー・タンクでは通常のSRSエアバッグABSやVSC・TRCが全車に標準装備。
自動ブレーキなどの衝突回避システムはダイハツの「スマートアシスト2」が、カスタムG-T、カスタムG“S”、G-T、G“S”、X“S”に標準装備されています。
ルーミー・タンクの販売店と価格
ルーミーとタンクを購入する際には、それぞれの取扱販売店(販売チャンネル)が異なりますので、気に入ったデザインのモデルを扱っているお店を覚えておくと良いでしょう。
トヨタ ルーミー
取扱店舗:トヨタカローラ店、トヨタ店
同じデザインではスバル ジャスティ
トヨタ タンク
取扱店舗:ネッツトヨタ店、トヨペット店
同じデザインではダイハツ トール
車体価格は下記のようになっています。
■1L直3NA(2WD/CVT)
X:1,463,400円〜
XスマートアシストⅡ:1,528,200円〜
G:1,620,000円〜
GスマートアシストⅡ:1,684,800円〜
カスタムG:1,771,200円〜
カスタムGスマートアシストⅡ:1,836,000円〜
■1L直3ターボ(2WD/CVT)
G-T:1,803,600円〜
カスタムG-T:1,965,600円〜
■1L直3NA(4WD/CVT)
X:1,636,200円〜
XスマートアシストⅡ:1,701,000円〜
G:1,792,800円〜
GスマートアシストⅡ:1,857,600円〜
カスタムG:1,944,000円〜
カスタムGスマートアシストⅡ:2,008,800円〜
まとめ
いかがでしたか?
「ルーミー」「タンク」は1000ccで税金も安く、小回りもきくコンパクトボディでありながら、十分な車内空間を備えた優れたプチバンです。
走行性能などの面では1200ccのスズキ「ソリオ」に劣る部分もありますが、後発の強みを生かし、デザインや居住空間については痒いところに手が届く作りになっています。
ちなみに私の感想では、車中泊旅行や長距離ドライブなどで走りも楽しみたいのならスズキ「ソリオ」。
妻のためのセカンドカーやサイクリングのトランスポーターとしてなら「タンク」が良いかなと思っています。
グレードはコスト重視で、1000ccのターボなしでも良いですが、高速道路などを利用することが多いならターボモデルを選んでおくと余裕を持ったドライブを楽しめます。
最後に実際の購入の際には、販売チャンネルが異なる同社の「タンク」「ルーミー」とダイハツ「トール」、スバル「ジャスティ」。
対抗馬としてスズキ「ソリオ」の見積もりを取りましょう。
基本的に欲しい装備の揃った「同等のグレードで見積もり」を出し、それぞれの店舗で比較して最大限の値引きを引き出すことが、一番お得に購入できる秘訣です。
見積もりは本命の購入時、値引き交渉の時に有効な武器になります。
ルーミー、タンクの場合、同じ車でも各社で販売されているので、それぞれ見積もりを取って競合させることが容易です。
あとは現在の愛車の査定を少しでも高くできるように工夫し、お得に愛車を手に入れましょう。
それでは、あなたが最高の愛車と出会えることを願っています。