日本では「売れない」と言われているアメ車ですが、現在40歳過ぎくらいの車好きの方には、その大排気量V8エンジンのサウンドやトルクに魅せられたファンも多数存在します。
シボレー・カマロやコルベット、フォード・マスタング、ダッジ・チャレンジャーなど、アメリカンマッスルスポーツカーはエコカー人気の裏で密かな人気を誇っています。
そして、2017年ニューヨークモーターショー。
フロリダ州に本拠を置くコーチビルダー「Trans Am Worldwide」の手によって、「ポンティアック ファイヤーバード トランザム」をモチーフとした「455 SUPER DUTY(スーパーデューティー)」が発表されました。
「トランザム」の名が7年振りに復活した瞬間です。
ポンティアック・ファイヤーバード・トランザムとは
「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」はアメリカの自動車メーカー「ゼネラルモーターズ(GM)」が生産したポニーカー(日本でいうスペシャルティカー)、「ポンティアック・ファイヤーバード」の最上位グレードです。
シボレーのカマロとベースボディを共有する姉妹車でもあります。
名前の由来は「Trans-American Sedan Championship」というレースの名称から取られました。
トランザムはカマロの「Z28」やコルベットの「Z06」に相当するパフォーマンス・グレードであり、高出力なエンジンとスポーティーな足回りを奢っているのが特徴です。
国産車でいうと、車名が独立する前の日産スカイライン「GT-R」やホンダNSXの「タイプR」ようなグレードといって良いでしょう。
ちなみにあの「所ジョージさん」も1970年式の2世代目トランザムを所有されています。
写真は世田谷ベースのイベント時の模様。
残念なことに2002年にGMは「ポンティアック」の生産を終了。
メーカーからの新車の提供は無くなってしまいました。
しかし、そのクルマのスピリットはファンたちの中で、しっかりと生き続けていたんですね。
日本でも人気だった第3世代のトランザム
テレビドラマ「ナイトライダー」で、主人公の探偵マイケル・ナイト(デビッド・ハッセルホフ)が、相棒(愛車)のAI内蔵の改造車「ナイト2000(K.I.T.T.)」と共に難事件を次々と解決していくストーリーで人気を博しました。
92’ Trans Am(ナイト2000レプリカ) 出典:http://areaten-one.com
この写真を見て「懐かしい」と思う方は多いはずです。
国内でも1982年から1986年まで吹き替え版が放送されて人気となり、3代目トランザムを「ナイト2000」のレプリカ仕様に改造したり、国産車の中で形状の似ていたトヨタスープラ(JZA70)を「ナイト2000」風にドレスアップしている愛好家も多かったと記憶しています。
Trans Am Worldwide「455 SUPER DUTY」の概要&スペック
455スーパーデューティ(455 Super Duty)のベースになっている車両はシボレー「カマロ」です。
デザインは1977年に登場した角眼の四灯、「イーグルマスク」と呼ばれたモデルをオマージュしています。
ちなみにベースとなるシボレー・カマロの主要諸元は
Chevrolet Camaro RS
全長×全幅×全高(mm) 4,780×1,900×1,340
エンジン V8 OHV VVT 6,153cc
トランスミッション:8AT
最高出力:399kW(461PS)/6,000rpm
最大トルク:617N・m(62.9kg・m)/4,400rpm
タイヤサイズ:フロント245/40ZR20 リア275/35R20
エンジンはコルベットと同様にGeneration V LT1 V-8エンジンの455-cubic-inch (7.4L)
スーパーチャージャー付きで14 psi(0.98kg/m㎡)に加給し、1013ps/144.6kgmの出力を叩き出します。
外装はカーボンのボンネット、フェンダー、デッキリッド、リアスポイラーなどを装備して軽量化。
インテリアもレザーレザーシートに専用デザインシフターを採用しています。
足回りは10スポーククローラーレースホイール、フロントは20.0 x 10インチ。リアはと20.0 x 11インチでさらに強化されています。
タイヤはフロント285/ 35R20とリア305 / 35R20のリアミシュランパイロットスポーツ4S。
出荷時のブレーキキャリパーはカスタムコーティングされていますが、ブレンボの上位パーツにアップグレードも可能です。
まとめ
この「455スーパーデューティ」は「Trans Am Worldwide」からの50台の限定生産ですので、日本に輸入できるかどうかは分かりません。
ただし、ベースのカマロやLT1 V-8エンジン搭載の現行型(C7)コルベットは国内でも購入可能です。
アメ車に興味のない方も機会があれば、ぜひアメリカンマッスルカーに試乗してみてください。
燃費や税金などを考えると、どうしても敬遠されがちなカテゴリーのクルマですが、そんなことを考えるのが馬鹿らしく思えるような楽しさを持っていますよ。